アクアポニックスは魚を使って野菜を育てることですが、魚が何でも良いというわけではありません。
特殊な装置を用いない限り淡水魚を用いることになりますが、非常に多くの選択肢があります。
育てた魚を「食べる」、「鑑賞する」、「販売する」などで魚種の選択が変わってきます。
一番避けるのは「特定外来生物」に登録されている魚です。
飼育は許可を得ればできますが、管理が厳しいので特別な理由がない限りさけるべきです。
2023.7月現在で26魚種が「特定外来生物」に指定されています。
全種は環境省・自然環境局のHPに記載されています。
「特定外来生物」で有名なのがブラックバスやブルーギルなどがいます。
こういった「特定外来生物」を避けて魚種を選ぶ必要があります。
では入手先があり既に飼育されている魚を紹介します。
①ニジマス
日本ではトラウトサーモンとしてスーパーなどでお刺身用などで販売されています。
トラウトサーモンは海水で養殖したニジマスのことをで、トラウトサーモンという魚種は存在していません。
もともと淡水域で生まれるので淡水でも養殖可能です。
マスやヤマメ、イワナ、アユといった淡水魚は一部が川を下り海に出て、また生まれた川にも出ってくるものが多くいます。
なので、海水で養殖が可能となっており、海水と淡水では味も違ってきます。
②コイ
全身が黒い真鯉、赤白が鮮やかな錦鯉など食用・観賞用として広く日本で親しまれている魚です。
観賞魚としては、どうしても飼育水に貯まる硝酸の除去を目的としてアクアポニックスに利用されています。
真鯉は酢味噌で食べる鯉のあらい、汁物の鯉こく、甘露煮などがあります。
食用として広く一般的とまではいえませんが、食用としていることは有名な魚です。
鯉は餌がホームセンターなどでも手に入る、水質変化にも強くことから飼育が容易な魚です。
またコイヘルペスなどの病気になることがありますが、日本での飼育暦が長いことから薬もあり、緊急時の対応もしやすいです。
③ドジョウ (鯲)
田んぼの水路などによくいるドジョウです。
西日本より東日本で柳川鍋などでよく食べられる魚です。
ドジョウも環境に強く比較的飼育が簡単な魚です。
また体長が最大でも20 cm程度と大きくないことから小型のアクアポニックスに向いている魚でもあります。
ですが、隠れて生活する魚なのでアクアポニックスで植物の根がドジョウ飼育水槽に垂れているとその間に入ったりして根をいためる可能性があるの注意が必要です。
④チョウザメ
卵がキャビアになる魚です。
チョウザメは個体を食用とするよりキャビア生産を目的使われるのがほとんどです。
ですが生まれてから雌雄の区別ができるようになるまで3~4年、卵をもつようになるまで約8年かかるといわれており、根気よく世話をする必要があります。
飼育に関して、アクアポニックス以外でも通常の養殖でもよく使われていることから情報は揃っています。
ですが、成長すると1 mをゆうに超えることからある程度の飼育スペースが必要となります。
大きく管理が大変ですが、商品としてキャビアは魅力的です。
⑤ナマズ
川や水路などに生息し、日本中で見ることができる魚です。
日本では食用として馴染みがありませんが、ウナギの代用魚として一時期取り上げられました。
我々がアクアポニックスで使用しているのがナマズになります。
海外では広く一般的に食用とされる魚です。
味はウナギとは全く違い、コチなどの白身魚に似ており非常においしい魚です。
ナマズは日本に4種おり、琵琶湖にのみ生息するビワコオオナマズとイワトコナマズ、2018年に発見された岐阜や愛知に生息するタニガワナマズ、日本中に生息するマナマズがあります。
ナマズは幅広い水質で生息できますが、急激な水の変化に敏感に反応し拒食になるナイーブな魚です。
また、昔はティラピアという魚がアクアポニックスで使われていました。
これは鯛の代用魚して使われていましたが、近年では鯛の養殖技術の向上で鯛が高級魚でなくなり、わざわざ代用魚を使う必要がなくなったことから、ティラピアはほとんど使われなくなりました。
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