水耕栽培に用いる野菜

水耕栽培は肥料を溶かした水で野菜を育てることです。

つまり根が液に浸かっていることになります。

なので作れる野菜が限られるように思われるかもしれませんが、基本的に何でも栽培は可能です。

今回は代表的な水耕栽培野菜とその育て方を紹介します。

*基本的な育て方

種子から栽培する場合は、水耕栽培用ウレタンスポンジマットを使います。

縦230 mm x 横230 mm x 高さ270 mmのスポンジが300個つながったマットに種をまきます。

スポンジマットは空気を含んでおり、そのまま使うと水を吸わないので水中に沈め空気抜きをし、水を十分に含ませてから種をまきます。

種子がペレット (小さい種を撒きやすいように加工されたもの)に加工されているものでも裸種子でも同じです。

種を撒いたスポンジはスポンジシートが全部入るトレイに入れ、種子に触れる程度に水を追加します。

ここから野菜の種子により異なります。

植物が発芽するには様々な条件があります。

光が必要なもの、光がダメなもの、温度が高めがいいもの、低めがいいものなどあります。

レタスはこの条件が緩いので適当に置いておくだけで発芽しますが、ホウレンソウは光があるとダメなので暗い所においてやる必要があります。

このあたりは種の袋の裏面かネットで「〇〇の種 発芽条件」などで検索してください。

置いておく場所によっては水の蒸発が多い所もあるので、水をを枯らさないように注意しあmす。

発芽したらスポンジの下から根が出るまで、そのまま水で栽培を続けます。

スポンジから数cm根がでたら、肥料の溶けた溶液プールに移します。

アクアポニックスの場合は魚の飼育水が養液になります。

移すときにスポンジシートから1個づつスポンジをちぎり、養液プールに設置します。

この設置は発砲スチロールに穴をあけたものを使えば、プールにそのまま浮かべて栽培することも可能です。

魚の飼育水をくみ上げて循環させる場合は、濾材などでスポンジを固定して栽培することもできます。

水耕栽培の王道はレタスです。

水耕栽培でもっともよく使われる野菜です。

玉になるレタスと玉にならないレタス (リーフレタス)の両方が使われます。

上の写真はリーフレタスです。

リーフレタスは種をまいてから40日程度で収穫します。

比較的管理が簡単で簡単に育ちます。

しかし、大きくなる速度が速いのでチップバーン (葉の縁が枯れる)などの生理障害を起こしやすいので、カルシウムやカリウムの葉面散布など行う必要がある場合があります。

葉面散布はカルシウムを1g/1Lに溶かし、葉にスプレーします。

また、アクアポニックスの場合は亜硝酸が多いと葉が黄色になるクロロシスを引き起こす場合があります。

植物は亜硝酸を窒素として利用できず、生理障害を引き起こします。

その場合はろ過システムを見直した、魚の数、餌の量を調整して亜硝酸を少なくする必要があります。

レタスのように根より上を食べる作物であれば基本的栽培方法は同じですが、必要な肥料が違うので注意が必要です。

次にトマトです。

これも水耕栽培で栽培する代表的なものです。

トマトもレタスと同じように種まきから養液プールに浮かべ栽培していきます。

方法は全く同じです。

レタスと大きく違うのは、縦に大きく伸びます。

ミニトマトなら1mほどで済みますが、大玉トマトは非常に長く育ちます。

その場合は、茎が伸びてきたら横に寝かして水平に育てていきます。

このように育てても実はちゃんとなります。

このトマトのように地上が大きく育つ野菜を人工光で育てる場合は、育てる方法に工夫が必要です。

地上部を食べる野菜でもっとも簡単に育つのがハーブ系です。

バジル、イタリアンパセリ、シソなどは生命力が非常に強いので、育てる環境をそれほど気にせず育てることができます。

逆に育ちすぎるので、その管理が忙しいほどです。

根を食べる野菜として水耕栽培でできるものは、

・ジャガイモ

・さつまいも

・大根

・ゴボウ

・自然薯

・ワサビ

などなどあります。

基本的に地下を食べるものは、実を大きくする必要がありますが、ジャガイモなどは地下部の圧力が必要なので、スーパーで売っているような大きさに育てるには水耕栽培の養液プールに硬めのスポンジを敷き詰め実に圧力がかかるようにする必要があります。

完全に養液で育てないのであれば、栄養の少ない土に養液を流すことで通常の大きさに育てることも可能です。

次に地下部が大きく育つ大根、ゴボウ、自然薯は、水耕栽培では養液の流れの影響を受け斜めに育ったりします。

それを防ぐために地下部が育つ方向を一定にするガイドなどが必要になります。

さらに大根、ゴボウ、自然薯などは長く育つので、必要な養液の量が多くなります。

なので、ミニサイズの品種を選ぶほうがよいです。

普通は地上部を食べるカイワレ大根なんかはおすすめです。

カイワレ大根も育てると地下が普通の大根のミニサイズで育ちます。

また、自然薯は地上の葉がツルで育つため、イロイロなところに絡まります。

これも絡ませる支柱などを設置しておかないと、収穫後の片づけが非常に面倒なことになります。

これら地下部を食べるものも種子から発芽させ、養液プールに移すまではレタスと同じように栽培できますが、サツマイモのように苗を買うものはウレタンスポンジを切るか穴を空け、発泡スチロールなどに固定できるようにしてやります。

また、花が咲くように育てるとおいしく食べれないやさいもあります。

大根やホウレンソウなど非常に多くあります。

花は基本的に1日に光が当たっている時間で決まります。

なので、光が当たっている時間は注意が必要です。

育てる野菜が長日 (光が当たっている時間が長い(12時間以上))か短日 (光が当たっている時間が短い(12時間以下))のかを調べておいて、

長日の野菜なら光に当たっている時間を短くなるようにします。

ライトなどの人口の光で育てる場合は、ライトに電源タイマーをつなげて管理すると楽です。

さらに木も栽培可能です。

木になる果実の場合、育て始めてから実が収穫できるようになるまで数年はかかります。

桃栗三年柿八年と言われるぐらいです。

あとは木の場合は養液プールに浮かべると非常に不安定なので、地上部を支えられるように工夫が必要です。

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