水耕栽培とは液体肥料を使う養液栽培の1つの方法です。
養液栽培は「水耕栽培」、「噴霧耕」、「固形培地法」の3つにわけることができます。
「噴霧耕」とは噴霧と付くように霧状の養液を根に吹き付け養分を吸収させ成長させる方法です。
この方法は根が十分に空気に触れることから、根の空気不足による根腐れを起こしません。
また、使う養液の量も少なくて済むことも大きな利点です。
噴霧はチューブに小さい穴の開いた散水チューブを使いますが、この穴が養液が乾いて固まったモノで塞がれてしまうことがあり、日ごろの管理が欠かせません。
また、根がある空間が大量の空気で満たされていることから、栽培している場所の温度の影響を受けます。
なので温室などの温かい場所で使う場合は、何かしらの対策が必要になります。
次に固形培地法ですが、有名なものだとロックウールや緑色のスポンジ状のモノ (オアシス)があります。
これらは人工培地と呼ばれるもので、養液を染み込ませて栽培に使います。
これとは別に天然由来のモノを使う天然培地もあります。
天然培地ではコケが腐食して泥になったものを乾燥させたピートモスがあります。
同じくコケにはなりますがコケ玉も天然培地になります。
天然培地はもともと養分が含まれていることもあり、足りない分を補う形で溶液を染み込ませて使います。
これら固形培地はロックウールやピートモスが水分・養分を保持してくれるのはもちろんですが、植物体を支える役割もしてくれます。
ですが、ロックウールは使用後の処理、ピートモスは連作のときの養分調整など手間が多くかかる問題もあります。
最後に水耕栽培ですが、これには湛液型と薄膜型の2種類があります。
湛液型は養液プールの上に野菜が浮かんでいる形になり、根は溶液の中にどっぷりと浸かっています。
このことから英語ではDeep Flow Technique (DFT)と呼ばれます。
この方法は根が常に養液に浸かっていることから、エアレーション等で溶液に空気を含ませてやる必要があります。
ですが、多くの植物工場で採用されているこの方法は、養液をポンプで循環させるため養液のかく拌は自然と起こり、追加のエアレーション等は必要としません。
養液を循環させないなど小さい規模で行う場合は、エアレーション等を行う必要があります。
この湛液型は大量の養液を常に循環させることから、養液に対する栽培場所の温度の影響が小さくなり安定した栽培が可能になります。
その反面、装置が大きく重くなるのが欠点です。
もう1つの水耕栽培である薄膜型は野菜が栽培されている水槽の底面に薄く養液を膜のように流し、そこに根が触れるようにして栽培を行います。
このことからNutrient Film Technique (NFT)と呼ばれ、実際にフィルムの上に養液を流す場合も多いです。
栽培している水槽は斜度が数度付けられており、自然と養液が流れるようになっています。
この方法ではDFTと違い根が常に空気に触れていることから根腐れの心配がいりません。
また、使用する養液の量も少なく済むことから装置も軽量です。
しかし、養液の量が少ないことから、DFTとは逆に養液に対する栽培場所の温度の影響が大きくなることから、温度管理が重要になってきます。
これら養液栽培の方法は良い点と悪い点が様々あることから、実際に行う際には規模や設備投資や維持費等のコストを考えていく必要があります。
またアクアポニックスとして大規模に運用する場合は、上記に加え飼育水をどのように組み込むのか、組み込むことによる管理などシステム全体を考える必要があります。
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