カルキ抜き

魚を飼育する場合、川や池の水をそのまま利用できる場合はいいですが、飼育場所が山の上などで自然水を使えない場合は水道水を使うしかありません。

水道水は川などからくみ上げた水をきれいににして上水にしています。

その時に塩素を用いて消毒をしています。

日本の上水は家庭の蛇口をひねって出てきたときに塩素濃度が0.1mg/L (水1Lあたり塩素が0.1mgある)以上になるように法律で定められています。

また、塩素が多いと匂いが目立つので蛇口をひねって出てきたときに上限を1mg/L以下に抑える水質管理目標値も定められています。

仮に最低の塩素濃度が0.1mg/Lだとして、魚にはどのような影響があるのでしょうか。

塩素は魚のエラの粘液量を低下させます。

そうすると魚は呼吸ができなくなり死んでしまいます。

さらに飼育環境ではろ過装置に住む菌を死滅させることになります。

ろ過装置に菌がいないとろ過能力が大きく低下して、ゆくゆくは魚は死んでしまいます。

では、どのぐらいの塩素濃度なら魚は大丈夫なのでしょうか?

0.003 mg/L以下です。

蛇口からでる水の塩素濃度が0.1 mg/Lの場合30倍に薄める必要があります。

薄めるにはカルキのない水が必要なので薄めることはできません。

なので、水道水からカルキを抜く必要がります。

カルキを抜く方法にはいくつかあります。

①太陽の熱を利用

水を汲み太陽光の当たる所に置いておきます。

そうすると太陽の熱により水温が上昇し、それに伴って塩素が抜けていきます。

夏場だと6時間程度、冬なら12時間程度かかります。

室内の窓際とかなら2‐3日かかります。

この方法は費用は掛かりませんが、時間がかかります。

また、夏場だと水温そのものが高くなるので、そのまま魚に使うことができない可能性があります。

②市販のカルキ抜き剤を使う

テトラ、エーハイム、コトブキなどのアクアリウムメーカーから何種類も販売されています。

これらのものは液体のものが多く、入れればすぐ魚に使えるものが多いです。

さらに、魚や水草に必要なミネラルが添加されており、カルキ抜きのついでに水質を向上させることもできます。

しかし、商品の中には、ナマズやアロワナといった古代魚に使えないものもあるので注意が必要です。

非常にお手軽なのでおすすめです。

もう一つ固形のものがあります。

よくハイポという名前で売られている、透明の結晶状のものです。

非常に安く、1袋買えば長期間もつのでお得感が強いです。

この結晶状のカルキ抜きはチオ硫酸ナトリウムという化合物です。

チオ硫酸ナトリウムは還元剤と呼ばれるもので、塩素が酸化剤になるので合わさることで中和します。

これにより塩素を無力化できます。

チオ硫酸ナトリウムは結晶状なので、水〇〇Lに対して1粒といった感じ袋の裏面に書いてあります。

ですが結晶の大きさがマチマチなので結構適当です。

なので使い方としては、チオ硫酸ナトリウムの結晶を水に溶かして、濃いチオ硫酸ナトリウム液を作っておき、薄めて使うのがおすすめです。

塩素濃度が0.1 mg/Lの水1Lのカルキ抜きにチオ硫酸ナトリウムが0.2 mgです。

ですが、実際はもっと少量でカルキは抜けます。

なので水100 mL(精製水が良いです)にチオ硫酸ナトリウムを10 g溶かした液を作ります。

これをカルキ抜きしたい水100Lに1 ml加えて混ぜて5-10分ば置けばOKです。

③浄水器を使う

浄水器から出てきた水をそのまま使えばいいので、手間が一切かかりません。

ですが、お金がかかります。

まず家庭内で利用する市販の水道の蛇口に付けるタイプや、そとに置いた箱型の浄水器を通すタイプはつかえません。

とりあえず家庭用は使えないと思っていいです。

これらの家庭用浄水器は塩素を完全に除去できません。

なので除去できるアクアリウム用などを使う必要があります。

100t処理できるもので17000円ほどです。

100t処理すれば中のフィルターを交換します。

この交換用フィルターがゴミを除去するフィルターが1000円、塩素を除去するフィルターが6000円ほどです。

家で魚を飼う程度の水槽に使うならかなりの期間使えるの良いですが、小さい池レベルとなると厳しいです。

ですが、水道のホースをさして出てきた水をそのまま使えるのは魅力的です。

次回はこの浄水器を作る方法を紹介したいと思います。

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